今一寸ドイツ・ミュージカル【レベッカ】(Rebecca)の曲の楽譜作成やってるんですが…。
この方です。ピア・ドゥエス
Pia Douwes “Rebecca” – Rebecca – Stuttgart
凄く迫力ある~
YouTubeでミュージカル【エリザベート】の主役シシをやった人です。
ドイツ版、というか、ウィーン版の【エリザベート】正直、圧巻です。
YouTubeでやってるけど。
歌詞がドイツ語なので、日本人にはなじみにくいかもしれませんが、ハッキリ言って全員、上手!
ヘタな人が誰もいない、というのが、ヨーロッパミュージカルの凄い処。
日本だと…ヘタな人が誰か必ずいるし…ね。
まぁ、アメリカも上手だけど。
ヅカファンは怒るかもしれないけれど、宝塚版とは一段違います。
私があまり宝塚を好きでないのは、結構あまり上手くない人がメインキャスト、やってたりするから。
それにヨーロッパのミュージカルってあまり内容が安っぽくないの。
結構哲学的です…内容も深い。
【エリザベート】だって、『私はどう生きるべきか?』とかそういうテーマがある。
【レベッカ】も深いもの、突きつけて来る。
【レベッカ】の原作はダフネ・デュ・モーリアの幻想小説『レベッカ』で、アルフレッド・ヒッチコックが映画化したものです。
原作では家政婦頭のデンヴァース夫人はそんなに重要人物ではないですが、ヒッチコック監督の映画では、デンヴァース夫人はかなりのメインキャスト。
そして、ミュージカル版では更に重要人物になり…というより、むしろミュージカル版【レベッカ】では、主役の“私”(イッヒ)を押しのけて、コッチが主役なんじゃ????と思う位、影の主役とも言うべきキャラクター。
デンヴァース夫人のテーマ曲『レベッカ』ビア・ドゥエスは迫力を持って歌い上げます。
内容は、“玉の輿に乗った若い女性のアフターストーリー”みたいなものかな?
玉の輿に乗るのも中々苦労するよう。
原作は高校時代の私は読んでます。
アメリカの富豪夫人に仕えていた“私”(イッヒ)は、ある時イギリス紳士(貴族)のマキシムと出会い、恋に落ちます。
マキシムは前妻レベッカを遭難事故で無くし、独身でした。
恋に落ちた“私”とマキシムは、結婚。“デ・ウィンター夫人”となった私とマキシムは、イギリスのマンダレイ邸での生活が始まります。
が、マンダレイには、そこかしこにマキシムの前妻レベッカの影が残ってます。
そして、レベッカの幼少時より仕えていたデンヴァース夫人。
彼女は“私”を主として認めないのです。
次第に追い詰められる“私”…。
このミュージカルで、敵役であり、影の主役とも言えるのがデンヴァース夫人。
デンヴァース夫人は使用人です。デ・ウィンター卿のマンダレイ邸の家政婦頭です。
家政婦頭、というのは、使用人たちの取り纏め役、多分イギリスのドラマ【ダウントン・アビー】のミセス・ヒューズみたいな立場かな?
見ていて『デンヴァース夫人、よくクビにならないよなぁ???』なんて思ってしまいます。
お仕えする新しい女あるじにあんな態度取るなんて。
デンヴァース夫人の亡きレベッカに対するほとんど絶対的、狂信的なまでの、心酔、崇拝…。一言では言い表せません。
デンヴァース夫人の狂気の愛と忠誠、そして絶対服従…コレは、アメリカのミュージカルには無いものだと思います。
デンヴァース夫人を通して、ヨーロッパの階級社会が見えてくる感じ。
デンヴァース夫人は“私”を見下しています。『このアメリカの小娘はデ・ウィンター夫人の格ではない』と。
そう、“私”の立場も決して楽ではない様です。
いちいち、屋敷内の事について、使用人に指示しなければなりません。
屋敷でパーティが開かれるとなれば、そのホステス(女主人)として、ソツなくプロデュースしなければならない。
他の貴族のお屋敷との交流もあります。社交ですね。
訪問するとなれば、一々手紙を書いて…です。
要するにソツなく“貴族の御夫人”を務める訳。
レベッカは全てにソツなく、やってのけた訳ですよ。
時々には使用人たちに強権発動しながら…。
命令し、威厳を持ち、君臨して…人の上に立つものとしての立場。
デンヴァース夫人は、多分“私”に見ていてイラついたんじゃないかな?
これではマンダレイ邸がバカにされるって…。
最後、“私”がマンダレイ邸で自信を持ち『デ・ウィンター夫人は私です』を歌った後、デンヴァース夫人は狂気に満ちた行動に出ました。
何とマンダレイ邸に火を放ち、マンダレイ邸と共に焼死します。
腕にはレベッカの愛用したナイトガウンを抱えながら…。
デンヴァース夫人はレベッカに殉じた…。
レベッカ様の作り上げたマンダレイ邸…それをこのアメリカ上がりの小娘になぞ渡すものか…!。
それはレベッカ様を冒とくする行為だ、この屋敷はレベッカ様に捧げる、それがデンヴァース夫人の論理だったんでしょう。
そのデンヴァース夫人はあまりにも壮烈です。
このデンヴァース夫人役、やはりかなりベテランクラスがやることが多いようです。
そりゃそうですよね…。だって陰の主役だもん。
そしてピア・ドゥエス演ずるデンヴァース夫人のアリア(?)『レベッカ』重厚且つ壮大です。
見応え&聞き応えありますよ。
ちふれより