え~、2/16の企画ライブで佐々木丸美作品の朗読を予定している為、改めて【雪の断章】を読み直してます。
又、ネット等でも【雪の断章】様々な読者が感想を書いていて、色々私なりに思うんだけれど…。
あの~、結構主人公の倉折飛鳥って、評判悪い処、あるのね。
余りにも頑固、強情で素直さが無いって。
概して、親友の中原順子なんかの方が評判はいい。
順子については、私も好きですよ。彼女、大人だもん。
順子発言で私も好きなセリフ(作中ではなく、【花嫁人形】で昭菜に対しての発言)は
『苦労した人って、自分の苦労をダイヤモンドのように飾り立てる事があるの。彼女の押し売りの苦労話に惑わされちゃ駄目よ』
『人は生い立ちじゃない。今よ』
ハイ!その通り!です。又
『宗教は自分が信じていれば良いのであって、人に話すと腐っちゃう』も好き。
そうなんです、ホント。
順子の発言、ホント、スッキリしますよ。
順子はホントに、大人感覚です。
で、【雪の断章】の飛鳥ですが…。
そう、確かに人に何も相談せず、一人で思考解決しちゃって…それが拗れる元になる。
家政婦のトキさんに言われて傷つき、4日間飛び出しちゃった件や、小説の中盤、犯人が解り(ネタバレになるので敢えて言いませんが(笑))受験勉強を放り出しちゃったり…。
一人で脳内解決してる。
飛鳥の思考に付いて行けない、と感じる読者は少なくないみたいです。
そしてラスト、真犯人の遺書に切なさを感じる人も多いようですね。
読者の方々の感想、私も解ります。
確かに飛鳥は小説のヒロインとして、素直さが無いですね。
もっと明るく、素直な少女であれば、共感を得るのかもしれません。
唯私、思いますが、飛鳥って、孤児なんですよ。
親に捨てられてる、少なくとも、親の庇護のもとに育ってないんです。
孤児であるが為の、苦労もしてます。他人の冷たさ、エゴも直面してる。
幼い頃の本岡家の2年間の経験で…。
社会の厳しさが、幼いころから嫌と言う程、解っている所があります。
従って、他人を信用しない部分ってあると思うの。少なくとも、無警戒に大人を信じない訳。
信用しない訳では無いんですよ、唯、信用しきれない。
コレは著者の丸美先生ご自身が仰っていた事です。
『飛鳥に対して色々読者さんから言われるけれど、飛鳥は孤児なんです。孤児、と言うのは、大人の庇護のもとにいないんですよ。だから、世の中に対して無警戒に信頼しきれないと思うんです』
丸美先生は、あえて倉折飛鳥をああいうキャラクターに設定しました。
物語にリアルさを出す為に…。
孤児物語、というと、少女マンガの【キャンディ・キャンディ】があります。
【キャンディ・キャンディ】と比較している人も多い。
キャンディス・ホワイトはとても素直で明るい少女です。そして強い。
お金持ちの他家に引き取られる点もキャンディと飛鳥は似ています。
そして、その家の子供に苛められる点も…。
キャンディも大金持ちのラガン家だかに引き取られて、その家の子供たち、ニールとイライザに散々苛められます。
が、キャンディって…負けないのね。
何でも言い返し…全く気にしません。
学校でイジメられっ子だった人なんか、キャンディに励まされた、という声も良く聞きます。
が…ワタクシちふれ、一寸キャンディには違和感!なんだなぁ…。
みなしごの孤児で育ち、大金持ちの他家に引き取られてその家の子に苛められる…コレってそんなに明るく、素直に育つか?
キャンディが出来過ぎてるというか、一寸キレイ事というか…。
子どもだし、もっと悩んで傷つくと思う。
何であんなに自分を確立出来るんだ?って思います。
そういう意味で、【キャンディ・キャンディ】より【雪の断章】の方が、ヒロインにリアル感ある訳。
心の中に怨念も抱える、暗い闇もある訳ですよ。
キレイ事でない部分で【雪の断章】はヒロインに迫力あります。
【雪の断章】は深いですよ。文学的な深さまであると思います。
ちふれより