数日前、ヴァイオリニストの高島ちさ子さんの発言のツイートが話題になりました。
『子供の頃「どうしてみんな遊んでるのに私だけ練習しなきゃいけないの」と言ったら蟻とキリギリスの話をされ「いつか優雅に暮らせるから」と母に言われたが、その頃キリギリスだった友達は玉の輿に乗って優雅で、私は蟻でもこんなに働かないって程働き、こんな時間まで練習し、それでも不安で眠れない』
コレ…確かにそう思いますよ。アタシでも…。
まぁ、アタシなんぞと違って、凄く高い経歴、キャリアと凄く高い腕を持った方なので、自分の一緒にするな、という話になるんでしょうが…。
でも、でも、でもね…言わせていただきます…。
コレ、確かにそう思う部分、あるんですよ。
何故私だけ(そうじゃないのですが、そう見えるのです…ハイ)こんなキツイ思いしなければならないの???って。
そう、子供の頃から毎日毎日、ピアノの練習ばっかりで…。
何か遊びたくても、常に背中に背負っているものが、ピアノ。
で、ウチも母親が確かに『アリとキリギリス』の話をしましたね。
今努力しておけば、後になって大人になってラクだからって…。
でもそれ、ホント???(笑)
何か、ピアノを背負っているせいで、人生、キツイ事が多いんじゃないか?と思うこの頃です。
特に私なんか、ピアノを捨てられたら、楽かもしれないんだ、人生。
高嶋さん程のキャリアや知名度がある訳じゃないし…。捨てるのは簡単。
でも、じゃあ捨てられるか?と言えば、捨てられない。
だって今までやってきた事だもの、そう簡単には気持ちの上で捨てられないんです。
一旦やり始めたことは最後まで貫く!そういう生き方が私は好きです。
人生で志を立てたものは最後まで、と思います。
音楽の方の仕事でも、人様には(キレイな格好をして、良いカッコしていて)華やか、と思われる部分は確かにあります。
が、結構、コレ、厳しいの。
兎に角、本番まで、稽古で気を抜けないし…。
本番、大事な処でトチらないか?失敗しないか?
ポップス的なサバイバルのステージだと、本番30分前に、新曲の楽譜(手書きで見にくい!)を渡され、聞いた事無い曲をその場でパッと曲想を読み取り、弾きこなさなければならない。
その場で、ですよ。コレって結構、初見視奏力、ソルフェージュ能力、かなり要求されます。
本番、少々のミスタッチ、仕方ないって思う。
但し、です。
音ミスタッチはしても、曲想が崩れてはダメ!なんです。
全体としてピシッと纏めていなければなりません。
クラシック出身者としては最初、これがものすごくきつい訳です。
だって今まで時間をかけて、難曲大曲を一ヶ月以上掛けてじっくりと稽古を積み重ねる事しか知りませんから。
毎日何時間も練習して…ね。
内輪話はこれ位にして…まぁ、色々ときつく、必死な訳ですよ。
だから…メジャーで有名なポジションにいらっしゃる高嶋さんの、大きなステージ前の緊張って物凄いと思う。
気の強さで知られる高嶋さんですが、あの位気が強くないとやっていけないんですよ。芸事の世界って…。
だって、大体皆さん、気が強い方も多いですからね、女性でも。
クラシックの世界もポップスの世界だって、女性陣、皆さま、気が強い。
まぁ大人しい良妻賢母じゃありませんね。
私もそうだけど。
高嶋さんの子供の頃の女の子の友達なんて、結構多分、お嬢さまも多いから、お嬢さま女子大を出て、結構な高収入のエリート男性の妻をやっていて、経済的にはのんびりしているでしょうね。
まぁ、子供さんのお受験で教育ママでもありそうですが、自身のキャリアを伸ばす事はないかもしれません。
キャリアを伸ばすって大変なんですよ。
キレイ事ではいかないし…お互いがライバル、凌ぎを削ってます。
牙を剥いている感じ。
なにくそ、負けるもんかと腹の中で思いながら…。
唯、この優雅に見える、良妻賢母の人生のエリートの奥さま方に収まっている女性たちも、高嶋さんの目から見たら優雅に見えても、結構内心では色々あると思うのね。
と言うのはね、私の周りの知り合いの女性陣、専業主婦と言うか、良妻賢母に収まっているというか…今、そういう人たちってね、結構職業キャリアの世界で挫折している人、少なくないんです。
というよりも、キャリアの世界で挫折して、結婚に逃げている感じ。言葉は悪いけれど…。
だから…どこか、心の中で、仕事の世界に未練がある。
内心、挫折感抱えてますよ。
私の知人でもいます。
大学は経済学部だったか、商学部出たけれど…仕事の現場で挫折。
私が
「いっそのこと、公認会計士の資格でも取って独立でもしたら?」
とけしかけると彼女
「えー、だって公認会計士なんて…きついよ。一日12時間も勉強するんだよ~」ですって。
あのー、司法試験でも、公認会計士試験でも、人様から”おっ”と見られる資格、ライセンスって…その位頑張らなければダメなんだけれど…思わず私
「あのっ!だって…私だって学生時代、一日何時間もピアノの練習、したわよ。テレビなんて全く見てないもの。なにかやるってそんなものなの!」
とハッパをかけると彼女
「そうだよね~ちふれさんは頑張っているんだ~」と考え込んでました。
結局、勝間和代を目指しても、みんな、挫折してるんですよ。
ああなれるのは、ごく僅かなトップエリート。
後はみんな、挫折してるんです。
そう、私だって本番直前、不安で眠れなかった事、あります。
それ位、キャリアの世界ってキツイものなの!
楽な人生ではありません。
が、この世界は、”自分の世界を持っている”という手応えがありますね。
積み上げているモノがある訳ですよ。
それは…お金では買えないものです。
だから、多分、私は生涯ピアノを捨てません。
高嶋さんも(私とはレベル違うけれど)そこは同じだと思う。
何か、考えてしまったちふれでした。
ちふれより