いや~面白かったですね!
宝塚版ではない、TVアニメ版【ベルサイユのばら】。
私が小学生~中学生時代、TVでやってたんですが。
私はつまみ食い的に見てました。だからラストは知らなかったんですよ。
宝塚版は見てないし…。
オスカル、アンドレ共に死ぬという事は聞いてましたが、まさか、フランス革命の勃発となった『バスティーユ襲撃』で討ち死にとは…。
コレは嫌でも覚える、『1789年7月14日』です(笑)(アンドレはその前日に戦死)
今、大人になって改めて見ると、この作品、結構政治的な部分も描いていたんですね。
小学生時代はその事に気が付きませんでした。
又、中坊になってからは、横溝正史、江戸川乱歩等の耽美的な世界にもハマっていたんで、【ベルばら】の少女漫画特有の甘ったるいおセンチ、べたべたした恋愛感情(恋に恋する夢見る乙女、みたいな)世界も、ちょっと苦手でした。
私が少女マンガに戻ったのは、むしろ、高3くらいから…かな。
感性が付いていかなかった。
今はもう大人なので(笑)甘ったるいおセンチ感覚は、少女マンガと割り切って…です。
特にジェロ―デルの告白シーン(アニメ版)は爆笑モノだもの。
オスカルは無表情、淡々と馬を進めてます。そこでジェロ―デルがクドクドと『あなたの甘い唇はバラの花びらのよう』なんて、美辞麗句、巧言令色のお世辞を言い立てて。
私、『なんじゃ、コレ~!』(^-^;
オスカル、ロクに聞いてないよ~。ジェロ―デルも少し考えた方が良い。
恋で意中の相手を振り向かせるには、相手の喜ぶ事言えっての!
オスカルって『あなたは美人です。美しいです』と言われて喜ぶ人かしら???
相手がどんなタイプが好きか?とか、あるじゃない???
まぁ恋のエピソードはさておいて。
オスカルって、一言で言えば『義の人』ですね。
一本筋を通す、というか、正義感もある。情けもある。
オスカル人気も解りますね。
私もこういうキャラ、好きですよ。だからロザリーの気持ちも解るし…。
ロザリーから見たら“頼りになる姉御”でしょうね。
大貴族の家柄のバックボーンを持ちながら、それに溺れず、(女だてらに?)剣を振り回し、常に毅然としていて、筋を通す。
一寸日本の武士道にも通じてるような…???
話の後半は、歴史上のフランス革命史のメンバーがズラズラ出て来ます。
ロベスピエール、ダントン、マラー、バルナ―ヴ…とフランス革命ではお馴染みの名前。
ロベスピエールって、私の印象では、悪名高い、というか、かなり過激で革命家で、後の独裁者、恐怖政治の革命家という印象だったんですが、初期の頃は違ったんですね。
弁護士出身で、ルイ16世即位の時は、法律学校の学生として、祝辞を述べた、とか…。
この辺り、ホントのエピソードらしいです。
法律家、ジャーナリスト…この辺りが仲良く、社会正義を言い立てるのは、今も同じなのかしら???
かなり穏やかに、粘り強く交渉してます。
フランス革命を描いただけあって、革命に至るまでの過程を良く描いてます。
又、上手に架空の主人公、オスカル・フランソワを絡めてるんですね。
三部会の開催で、三部会の会場の警備担当にするとか…。池田理代子先生、流石です。
又、三部会の強引な解散(?)で納得のできない第三身分(平民階級)の議員たちを、“武力も辞さないで解散させろ”という命令には、精一杯の抵抗します。
そこで対峙するのがジェロ―デル、というのが皮肉、というか、有利になったんですね。
近衛隊も、かつての上官だったオスカルに剣は向けられない、と言う訳。
フランス革命って、何とか避けられなかったのかな?と私は思います。
近代史ではやけにフランス革命が美化されてるようだけど。
唯の暴動じゃないの??って思う。
国王夫妻の処刑後、次々に処刑されていくんですよ。
なんでこんなに殺すの??って思います。
最も王党派も、考えが甘いんですね。
財政がひっ迫しているのにその解決策として、第一身分、第二身分からも、税金を取る、というネッケルを罷免したりして。
フランス革命の時というのは、日本も危なかったんですよ。
天明の大飢饉とかで、浅間山の噴火で、作物が不作、日本も餓死者が続出した、という恐ろしい話があります。
日本の徳川政権は持ち応えたが、海を越えたフランスでは、国が引っ繰り返った、と言う訳。
国民を食べさせるために、政府も必死にならなくてはダメなんですよ。
この大飢饉で出世したのが、白川藩の松平定信公だったとか…。
藩内に餓死者を一人も出さなかった手柄で、老中に取り立てられたそうです。
松平定信公は、“質素倹約、質実剛健”と倹約、節約精神です。
華美を旨とする、ヴェルサイユ宮殿とは対極ですね(笑)
餓死しかかっている時に、ヴェルサイユ宮殿の鏡の間とか、首飾り事件とか見せられたら、腹立ちますものね。
【ベルばら】のラスト、バスティーユで戦死するオスカルですが、その後、国王夫妻の逃亡事件、同夫妻の処刑、と革命は続きます。
私が凄いと思うのは、国王夫妻の処刑の時。
特にアントワネット妃が有名ですが、彼女は処刑されるその時まで、落ち着いた足どりで、常に毅然としていたとか。
泣き喚いたり、命乞いをする事が全くなく、(泣き喚いたのは前帝寵姫デュ・バリー夫人)正々堂々と胸張って処刑されたそうです。
その姿は、まるで武士の討ち死です。
そう、敗軍の将として、正々堂々と討ち取られたの如く、です。
驚くのは、革命で数多くの大小の貴族が、次々に処刑されていったが、皆、正々堂々と胸張って処刑されたらしい。
命乞いしなかったとか…。
そして、その毅然とした姿、罪人として処刑されるにはあまりにも立派過ぎる姿が、却って革命家のリーダーたちの癇に障った…らしい。
もっと情けなく、命乞いしていれば、後の粛清は無かったのではないか?とも言われてますね。
我が国の武家階級の切腹もそうですが、特権階級の矜持というのは凄いものです。
それが壮烈な形で現れたんですね。
ちふれより