三浦綾子氏原作の小説【氷点】のドラマやってます。
コレです。
1966年制作のものです。
内藤洋子さんがヒロイン辻口陽子を演じた名作です。
私が生まれる以前の作品です。
原作は10代で読んでいたので、内容は知っていましたが…迫力満点。
その後、行く度かドラマ化されましたが、この1966年版が一番原作近い、と言われているようです。
陽子育ての母、辻口夏枝を名女優、新珠三千代が演じてます。
評判では、内藤洋子が人気だったそうですが、私から見たら新珠三千代がはまり役。
美貌の辻口病院長夫人、夏枝のイメージそのまま。
品が良くて、淑やかで、艶やかで…。
原作でも上品な美人、という設定なので、ピッタリです。
無論、内藤洋子も可愛いんですよ。でも新珠三千代の迫力が凄い。
正直、この辻口夫婦の意思が良く解らないんですよ。
あらすじは、(名作なので良く知られていますが)裕福な辻口病院長夫人、夏枝が、(辻口病院の勤務医の)歯科医、村井に言い寄られている最中に、辻口夫妻の娘、ルリ子が、誘拐され、殺されます。
妻の不貞を許せない辻口啓造は、妻への復讐にルリ子を殺した犯人佐石の娘陽子を引き取って夏枝に育てさせる、というもの。
今風に考えたら、陽子の人権、どうなっとるんじゃ!?という話です。
不仲の夫婦の仕返しのダシにされている訳。
こんな事したら、家庭が滅茶滅茶になる事くらい、啓造は解らなかったのかな?と思います。
村井に言い寄られてキッパリと断らない夏枝が悪いのは言うまでもないですが、啓造もねぇ…???
妻の不貞を感じて、何でその時にしっかりと詰らないんだ?と思います。
ここでキチンと夫婦ケンカ(!?)をしておくべきだったんじゃ???とも思う。
要するに、気持ちの話し合い、してない訳。
夫婦が腹割って話さない。
市原悦子演じる辰子おばさんがいい味出してます。
この話の中で、辰子おばさんが一番大人なんじゃないかな???
辰子と、高木が大人の風格があります。
啓造は、揉め事が嫌、というより、やっぱりインテリだけあって、プライドが高い…んじゃないかな?
自分の気持ち、というか、ホンネ、というか、さらけ出さないよう。
妻が不貞を働いた、と感じたら、キチンと自分の気持ちを話すべきですよ。
裏切られるのは嫌だ、と…。
夏枝も解りません。
見ていて、『あなた、啓造と村井とどったの男性が良いの??』です。
村井にヨロメイテ(?)いながら、夫の乗った船が沈没したと聞くと、無事を祈ったり…。
夫が嫌いだ、と思いながら、別れようともしないし…。
啓造が死んだら困るらしい…ホントに嫌いだったらお赤飯炊いてお祝いしますよね(笑)
まぁこの時代、女性は夫に養ってもらっているんだから、生活の為に別れられないのかもしれないけれど。
医者一族に生まれながら、夏枝は女学校きりです(原作記載)
啓造は婿養子なのね。
お医者さんのお嬢さまで、美貌で、何不自由ない人生しか知らなくて…一昔前の、有産階級の女性が辿った人生。
だから我儘でもある。
夫は啓造で、愛人は村井で…と虫の良い事考えているのかしら???
しかも村井が病気でダサくなると、途端に熱が冷めるし。
男性をルックスで見て、イケメンならOK、ブサイクはダメ、と言う事。
村井に対しても、どうも本気ではなさそうです。
本気なら、テーベ(肺病)にかかった村井を見舞うくらいはするでしょうし。
夏枝は全く見舞いません。
話の後半に出て来る、陽子の彼氏の北原に対しても夏枝は熱を上げます。
娘の彼氏、ですよ???
本気で自分を見てくれる、と思ったのかしら??美人の発想って…怖い(苦笑)
ある部分、夏枝って…人生の試練に立ち向かった事、無いんですよね。
困難らしい困難が無かった…キツイ事、乗り越えてない。
富裕層の恵まれたお嬢さんなんだから、せめて、医大を目指すくらいの困難に立ち向かっていれば、キャラクターは変わったかもしれません。
が、この時代は女の子にあんまり勉強させないし…。
良妻賢母の花嫁修業だけ、なんですよね。
良妻賢母、としては、夏枝はかなり優等生の方のようです。
家は常にきれいにして、食事もきちんと揃えてます。
唯、有閑マダムの処があるんですね。
ともあれ、迫力あるドラマです。
ちふれより