一昨日ですが、作家・佐々木丸美の講談社時代の編集者、湯浅智機氏とお会いしました。
湯浅氏は現在僧籍、真言宗の御住職の方となっておられます。
私ともう一人の方と、二人でお目にかかり、三人で千葉の某喫茶店にてお話を伺いました。
丸美先生の納骨されたお寺も伺いました。
丸美先生は以下に納骨されております。
石狩別当駅から車で5分、徒歩20分だとか。
札幌駅からそんなに遠くありません。電車で40分程。
お墓参りしたい方は是非。
丸美先生の戒名『慈円妙美信女』
穏やかな良い名前ですね。
色々とお話伺いました。
佐々木丸美先生は、『雪の断章』で賞を取られた後、種々の事から講談社と出版契約を結ぶことになった事。
そこで丸美先生、出版契約を結ぶとき、ハンコを忘れてしまった事。
作家によっては、原稿の手直しを編集者と二人三脚でやる事もあるが、佐々木丸美限っては、内容の手直しは全く無く、校正の誤字脱字等の出版テクニックだけだった事。
つまり、丸美先生はほとんど全く一人であの作品の原稿を書き上げ、あの完成度のまま講談社に持って行っていた訳です。
凄いですよね…。
編集担当者の湯浅氏とも、ほとんど内容について打ち合わせた事も無く、湯浅氏も次回作については、全く毎回どんな作品になるのか解らなかった事。
全く事務的なやり取りのみだったそうです。
湯浅氏は「作品メモのノート等にあったようだ。それを見れば何を考えて丸美さんが執筆したのか解るんだが」と仰っていました。
「『雪の断章』受賞の件は、ホントに喜んでいてね…」と湯浅氏。
その後、講談社で数冊、出版するも、種々の事から、少し講談社に不満を持ち始め、(北海道の人間は本州の人より損をさせられている、と感じていたようなんです)他社の新潮社に原稿を送るも、新潮社より「コレはうちでは扱えません」と送り返されてきた話とか…。
湯浅氏、「丸美作品は解る人は解るんだが、解らない人は解らないんだな」と仰ってました。
又丸美先生の事を「…天才肌というのかな?」とも。
断筆の理由と言うのも、理由は色々ありそうです。
講談社で『雪の断章』を出版したら反響は凄い来たそうです。
しかも、読者はほぼ北海道人だとか(笑)
本州にファンはいなかったんでしょうか???
北海道の書店、紀伊国屋札幌支店と、三省堂と、後取次の書籍関係のスタッフで、『佐々木丸美ファンクラブ』を作った話。
そのファンクラブが丸美作品を全国的に支援したとか。
丸美先生、最初の『雪の断章』『崖の館』…と次々に作品を発表していきましたが、徐々に売り上げが減っていったらしい…。
理由は…??コアファンなら解りますよね?(笑)
要するに、作品の世界観に“ついていけない”訳ですよ。
だって、後期の作品て『影の姉妹』ですよ?『沙霧秘話』ですよ?
『橡家の伝説』『ハシバミ家の伝説』…どう????
コレ、かなりマニアックでしょ!?
『雪の断章』こそ一般性はあるものの、徐々に(ファンにとってはいい意味で)幻想性を帯び、“幻想ファンタジー、ミステリーロマン”となり、一般の読者は
「何じゃ??コレ??…」です。
と言う訳で、読者も減っていった…らしい。
映画の話も良い顔しなかったみたい。
やっぱり、映画化すると作品が変えられてしまうから、らしいですね。
そりゃ~そうですよね、映画版【雪の断章~情熱】を見ればよく解りますし(笑)
湯浅氏は
「丸美作品の全集を出せたらなぁ…限定版で良いから」
「佐々木作品で一番合うイラストは味戸ケイコさんだ、だから私は推した」
と仰ってました。
未だに味戸ケイコさんが一番良いそうです。
ともあれ、佐々木丸美先生の貴重な関係者の方にお目にかかれ、とても幸せな時でした。
ちふれより
PS…湯浅氏、丸美ファンのオフ会等も気軽にご参加頂けそうです。『ファンイベントでゲストに呼ばれて何か話してください』と言われても、言えるような事はほとんどなくて…と仰ってました。