【夢を売る男】(百田尚樹著)《作品感想・書籍》を読んで…

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 【夢を売る男】(百田尚樹著)《作品感想・書籍》を読んで…
Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

あの…傑作でした(笑)出版業界の舞台裏なんですが…。

特に自費出版の世界です。と言うより、書籍出版にかかる費用を著者と出版社が負担する《ジョイント・プレス》と言う方式をこの小説の舞台の丸栄社(この名前は笑えた、“見栄”が“丸出し”の意味か?)はしているのですが。

本の出版って結構色々大変なんです。と言うのは私ちふれも知っています。特に著者が素人だったり、ネームバリューが無く、無名だったりするとね。

本の出版は3種に分類されます。

(1)商業出版…所謂、プロのライターや作家さんの出版方式、出版社が出版費用は全て抱える。かなり売れ行きが見込めないと今は厳しい。
(2)自費出版…著者の個人出版、費用は全て著者、出版社を通さず、(原稿執筆、編集、校正は全て著者で)原稿をいきなり印刷所に回し、印刷、製本、でISBN番号(国際書籍特定番号)も自分で取得(コレ、出来ます。費用は2~3万円)、アマゾン等で売れば出来る。費用は200ページのソフトカバー、四六判で、100部印刷で30万円ほどでできる。
が、出版社を通すと、編集、校正とプロがやる為、某文芸社等では200万円ほどかかる。
(3)共同出版…出版社と著者の折半で出版費用を出す。この小説の丸栄社もその方式…だが、ここではその如何わしさが良く描かれています。

なんですが…著者が無名の素人の場合、(2)か(3)になる訳。でね、どうせ著者が費用を出すのであれば、出版社を通さず、原稿執筆、編集、校正は全て著者サイドでやり、印刷と製本を印刷会社にやってもらうのが、一番安い。が…これは流通が問題なのよ。これだと、取次(トーハンとかね)が受け付けない。

本の出版は

原稿執筆→編集→校正→カバーデザイン→印刷、製本→取次→書店→読者

とだいたいこんな感じ。少なくとも、アマゾンが出て来るまでは、流通が絶望的だったんです。著者の手売りだけで。今は取次通さなくても、アマゾンが受け入れてくれます。

ここで出て来る《ジョイント・プレス》は(3)の共同出版なんだけれど、これで200万とか、300万とかふんだくってます。

「本当は500万円位かかるものを販売部と交渉して、200万に値下げさせてます」とか何とか言って。「この本はいい本ですし、ウチ(丸栄社)で赤字覚悟でも出したいので」なんて言ってね。費用がはっきり言って水モノなんです。

取次は、個人では受け付けてくれません。だから、200万払っても、出版社通してしか自費出版、共同出版になる。いずれにしてもン百万かかるんです。

取次通すと、書店で売ってくれます。自分の本が、書店で、宮部みゆきとか、東野圭吾の本の隣に並んでる訳です。これが丸栄出版のウリ。

今は書店でなくともアマゾンが売ってくれますが…。

ここに出て来る本を出版する目的と言うのが…要するに“見栄”なんですよ。“見栄”で本を出版する。

要するに『作家先生』『文化人先生』になりたい訳。本屋で自分の本が宮部みゆきさんの本の隣に並んでてほしい訳です。それがブランド。

一冊も売れなくていいから…ね。それを夢見ている。

完全自費出版ではそれが無い。ISBN番号を自分で取得、国会図書館にも本を置いてもらう(ISBN番号を取得すると置いてもらう事になります)出来るんだけれど、芥川龍之介や夏目漱石の本の隣に一緒に本屋で売ってもらう、が無い。

本の出版て素人作家にとって“夢”なんですね。何だか音楽の世界と一緒だなって思っちゃう。その夢で丸栄出版は暴利むさぼる。

完全自費出版ではそのブランドが無いんです。周りに“自己満足”で本を出したと思われる。“ちゃんとした”“出版社”を通さないと。

実際、共同出版とか、大手出版社の自費出版てね、その“ブランド性”で売ってます。お客が読者ではなく、著者なんです。何百万払うから。

実際数年前に、自費出版の出版社が著者数名から訴えられました。某文芸社だったか…この小説、一部実話なんですよ。

実際、一寸以前にお会いした本の編集者の方は

「本を出すってね、ご自身のブランドになるのよ。税理士とか公認会計士なんて、中小企業の社長さん達に信用絶大なんだから、何百万も出す価値あるのよ」と仰ってました。

聞いてて開いた口が塞がりませんでしたね~(笑)要するに出版業界って、『本を出版する』と言うブランドで売ってるんだから。特に無名の著者には。

ここではっきり言います。無名の著者の場合、『完全自費出版』で出すのが宜しい!自分で原稿執筆、編集(ワードで出来ます)、校正までやって、ISBN番号の自力で取得、印刷所で印刷、製本してアマゾンで売る、が一番です。

PRにブログでも書くのが良いんです。そこにアマゾンの自分の著作の本のバナー広告でも張り付ける。

従来の出版業界なんてね、何も知らない素人からン百万ふんだくる世界ですからね。

ちふれより

PS…ココで出て来る“本”とは“紙書籍”の事です。“電子書籍”なら更に安く、無料で出せる事位…解りますよね?




このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 【夢を売る男】(百田尚樹著)《作品感想・書籍》を読んで…
Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください